バイクを売却するとき「買取代金に税金がかかるのではないか」と不安に感じる方もいるでしょう。通勤や買い物に使っていた一般的なバイクであれば、売却によって所得税がかかるケースは多くありません。
一方、事業で使用していた場合や、転売によって継続的に利益を得ている場合などは、確定申告が必要になる可能性があります。売却後に思わぬ税負担が生じないよう、用途や売却益の有無を確認しておくことが大切です。
本記事では、バイクの購入・所有・売却に関係する税金について解説します。所得税がかかるケースや売却後の軽自動車税への対処法も紹介しますので、バイクを手放す予定がある方は参考にしてください。
バイクにかかる主な税金

バイクには、購入時だけではなく、所有中や車検時にも税金がかかります。また売却の目的や利益の有無によっては所得税が発生する場合もあるでしょう。ここでは、バイクに関係する主な税金を紹介します。
購入時にかかる消費税
販売店からバイクを購入する際は、車両本体や部品、整備費用などに消費税がかかります。新品だけではなく、販売業者が取り扱う中古バイクも原則として消費税の対象です。
一方、会社員などが私生活で使用していたバイクを買取業者へ売却しても、通常は消費税を納める必要がありません。消費税の対象となるのは、原則として事業者が事業として対価を得て行う取引だからです。国税庁も、給与所得者が自家用車をたまたま売る行為は、事業として行う取引には当たらないと説明しています。
ただし、個人事業主が事業で使用していたバイクを売る場合は、事業用部分が消費税の課税対象になることがあります。特に消費税の課税事業者は、所得税だけではなく消費税の処理にも注意が必要でしょう。
毎年かかる軽自動車税
バイクの所有者には、軽自動車税(種別割)が毎年課されます。納税義務を負うのは、その年の4月1日時点で車両の登録名義人となっている方です。
主な年額は、次の通りです。
年度の途中でバイクを売却・廃車しても、軽自動車税には月割りの還付制度がありません。例えば、4月2日に名義変更を済ませた場合でも、4月1日時点の名義人がその年度分を全額納めることになります。
反対に、3月31日までに名義変更や廃車の手続きが完了していれば、原則として翌年度分は課税されません。売却日ではなく、登録上の手続きが完了した日が基準になる点に注意が必要です。
四輪の自動車を売買された経験がある方ならご存じかもしれませんが、四輪の自動車税は月割りで計算されますが、二輪の軽自動車税は月割り計算されないことを覚えておきましょう。
登録・車検時にかかる自動車重量税
自動車重量税は、バイクの排気量や登録からの経過年数などに応じて課される国税です。全てのバイクに毎年かかるわけではなく、排気量によって納付する時期が異なります。
125cc以下の原動機付自転車には、自動車重量税がかかりません。125cc超250cc以下の軽二輪は、原則として新車を登録するときに一度だけ納付します。
250ccを超える小型二輪は、新車登録時に加えて、車検を受けるたびに自動車重量税を納める仕組みです。登録から13年、18年が経過すると税額が上がるため、年式の古いバイクでは車検費用も高くなる可能性があります。国土交通省も、軽二輪には車検がなく、新車届出時に自動車重量税がかかる一方、小型二輪は車検時に納付義務が生じると案内しています。
なお、売却時に自動車重量税をあらためて納める必要はありません。車検期間が残ったバイクを売っても、通常は未経過分が国から直接還付される制度もないため、査定額にどの程度反映されるかを売却先へ確認するとよいでしょう。
売却時にかかる場合がある所得税
個人がバイクを売却して得た代金の全額に、所得税がかかるわけではありません。課税の可能性があるのは、売却代金から取得費や売却に直接かかった費用を差し引き、利益が生じた場合です。
通勤や買い物などに使用していたバイクは、原則として「生活に通常必要な動産」に当たります。その売却による所得は非課税とされているため、購入価格より高く売れたとしても、通常は所得税の申告を必要としません。国税庁も、通勤用の自動車などの生活用動産を売ったことによる所得は課税されないとしています。
ただし、事業用や転売用のバイク、生活に通常必要とは認められない趣味用の車両は扱いが異なります。用途や売却方法によって、譲渡所得・事業所得・雑所得などに区分される可能性があるでしょう。
譲渡所得となる場合は、次のように計算します。
特別控除額は、その年の総合課税の譲渡益を合計して最高50万円です。購入価格をそのまま取得費にできるとは限らず、使用によって価値が減少する資産は、減価償却費相当額を差し引いて計算します。
バイクの売却で所得税がかかるケース

日常生活で使用していたバイクの売却は原則として非課税ですが、全ての売却に所得税がかからないわけではありません。ここでは、課税対象になる可能性がある代表的なケースを解説します。
事業で使用していたバイクの場合
フードデリバリーや商品の配送、営業先への移動など、事業で使用していたバイクを売却した場合は、譲渡所得の対象になる可能性があります。単に事業で使っていたという理由だけで、売却益が全て事業所得になるわけではありません。
譲渡所得を計算する際の取得費は、購入代金から、それまでの減価償却費相当額を差し引いた金額です。そのため、購入価格より安く売った場合でも、帳簿上の価額を売却価格が上回り、譲渡益が生じることがあります。
例えば、50万円で購入したバイクの帳簿上の価額が10万円まで下がっており、20万円で売れた場合は、単純計算で10万円の利益が生じる形です。ただし、実際には売却費用やその年の他の譲渡益、特別控除も含めて所得を求めます。
事業と私生活の両方で使用していた場合は、事業で使っていた割合も確認しなければなりません。また消費税の課税事業者であれば、事業用部分の売却が消費税の対象になる可能性もあります。帳簿の処理や按分方法に迷うときは、税理士や所轄の税務署へ相談するとよいでしょう。
営利目的でバイクを売却した場合
バイクを安く仕入れて高く売る行為を繰り返している場合は、生活用動産の処分とはみなされません。売買の規模や継続性、取引の実態に応じて、事業所得または雑所得として課税される可能性があります。
例えば、販売する目的で複数の中古バイクを仕入れ、整備して継続的に転売しているケースです。この場合、バイクは自分で使用する固定資産ではなく、販売用の商品である棚卸資産として扱われることがあります。棚卸資産の売却による所得は譲渡所得ではなく、事業所得に分類されるのが基本です。
一方、事業と呼べるほどの規模ではないものの、営利目的で反復・継続して売買している場合は、雑所得に該当する可能性もあるでしょう。単発の売却か、利益を得る目的で繰り返しているかなど、複数の事情から判断されます。
課税対象となる所得は、原則として売上金額そのものではなく、仕入代金や整備費、販売手数料などの必要経費を差し引いた利益です。取引履歴や領収書を保管し、所得を計算できるようにしておく必要があります。
生活に通常必要とは認められないバイクの場合
日常生活に必要なバイクではなく、趣味やレジャーを主な目的として所有していた車両は、売却益が非課税にならない場合があります。
該当する可能性があるのは、次のようなバイクです。
- 公道を走行せず、サーキット走行だけに使用するバイク
- 観賞や収集を目的として保管している希少なバイク
- 日常の移動には使わず、趣味やレジャーだけに使用するバイク
ただし、車種や価格だけで課税の可否が決まるわけではありません。高額な大型バイクであっても、通勤や買い物など日常の移動に使っていれば、生活用動産と認められる可能性があります。反対に、公道を走れない競技専用車両などは、生活に通常必要な資産とは判断されにくいでしょう。
生活用動産に該当しないバイクを売って利益が出た場合は、原則として譲渡所得を計算します。その年の譲渡益から差し引ける特別控除は、他の総合課税の譲渡益と合わせて最高50万円です。所有期間が5年を超える長期譲渡所得については、特別控除後の金額の2分の1が課税対象になります。
バイクの売却で所得税がかからないケース
バイクを売って代金を受け取っても、必ず所得税がかかるわけではありません。ここでは、一般的に課税対象とならないケースを解説します。
通勤や買い物用のバイクの場合
通勤や通学、買い物など、日常生活の移動手段として使用していたバイクは「生活に通常必要な動産」に該当します。このような生活用動産を売却して得た所得は非課税とされているため、原則として所得税はかかりません。
例えば、勤務先への通勤に使っていたスクーターや、買い物や家族の送迎に使用していたバイクなどが該当します。休日のツーリングにも利用していたとしても、日常の移動手段として実際に使っていたのであれば、直ちに課税対象になるとは限らないでしょう。
生活用のバイクであれば、購入価格より高く売れた場合でも、原則として売却益を申告する必要はありません。ただし、事業にも使用していた場合や、観賞・収集を主な目的として所有していた場合は、利用状況に応じた判断が必要です。
売却価格が購入価格を下回った場合
課税対象となり得るバイクであっても、売却による所得が生じていなければ、所得税はかかりません。一般的な中古バイクは、年数の経過や走行距離の増加によって価値が下がるため、購入時より安い価格で売却するケースが多いでしょう。
ただし、所得の計算では、必ずしも購入価格と売却価格をそのまま比較するわけではありません。事業用のバイクや生活に通常必要とは認められないバイクでは、購入代金から減価償却費相当額を差し引いた取得費を用いる場合があります。そのため、購入時より安く売れたとしても、税務上は利益が生じる可能性がある点に注意が必要です。
なお、通勤や買い物に使っていた生活用のバイクを売って損失が出ても、その損失を給与所得などから差し引くことはできません。生活用動産の売却による損失は、原則として他の所得との損益通算の対象外です。
バイクの売却後に必要となる場合がある「税止め」とは?
税止めとは、バイクの名義変更や廃車をしたことを課税元の市区町村へ申告し、翌年度以降の軽自動車税が旧所有者に課されないようにする手続きです。正式な手続き名ではなく、一般に「軽自動車税の申告」や「課税を止める手続き」を指して使われています。
125cc以下のバイクは、市区町村の窓口で名義変更や廃車を行います。課税手続きも同じ市区町村が扱うため、通常は廃車申告と同時に課税情報が更新されるでしょう。
一方、125ccを超えるバイクの登録・廃車手続きは、運輸支局などで行います。軽自動車税を課す市区町村とは窓口が異なるため、登録情報が課税元の自治体へ自動的に伝わらない場合があります。特に、他の都道府県へ名義変更した場合や、県外の運輸支局で廃車した場合は、税止めが必要になる可能性があるでしょう。
税止めでは、一般的に次のような書類の写しを市区町村へ提出します。
- 軽自動車税申告書
- 新しい車検証や軽自動車届出済証
- 自動車検査証返納証明書
- 軽自動車届出済証返納証明書
- ナンバープレート返納時の申告書
必要書類や提出方法は自治体によって異なります。売却先の買取業者が名義変更とあわせて対応することも多いため、契約時に税止めまで代行してもらえるか確認しておくと安心です。
バイクの売却後に軽自動車税を課されたときの対処法
バイクをすでに売却していても、名義変更の時期や税止めの状況によっては納税通知書が届くことがあります。通知を放置せず、課税の基準日や手続き状況を順番に確認することが大切です。
4月1日時点の名義を確認する
軽自動車税は、毎年4月1日時点でバイクを所有または使用している方に対して、その年度の1年分が課されます。まずは売買契約を結んだ日だけではなく、名義変更や廃車の手続きが完了した日を確認しましょう。
3月中にバイクを引き渡していても、名義変更が4月2日以降に完了した場合、4月1日時点では旧所有者の名義が残っています。この場合、原則として旧所有者がその年度分を納めなければなりません。
まず、3月に入ってから買取業者にバイクを売る場合、3月末までに廃車や名義変更が終わるか確認しましょう。
終わる場合は問題ありませんが、終わらない場合、税金の扱いはどうなるのか契約する前に確認しましょう。買取業者によっては廃車・名義変更が3月中に完了しない場合、軽自動車税を支払うという対応をしてくれる業者もあります。
軽自動車税には月割り制度がないため、年度の途中でバイクを手放しても税金は還付されません。4月2日以降に名義変更や廃車をした場合は、その年度分を全額納める必要があります。
一方、3月31日までに手続きが完了していたにもかかわらず通知が届いた場合は、自治体に登録情報が反映されていない可能性があります。次に、市区町村や売却先へ状況を確認するとよいでしょう。
市区町村へ問い合わせる
3月31日までに名義変更や廃車が完了している場合は、納税通知書を発送した市区町村の軽自動車税担当窓口へ問い合わせます。手続きの情報が自治体に届いておらず、以前の名義のまま課税されている可能性があるためです。
問い合わせる際は、次のような書類を手元に用意しておくと、状況を説明しやすくなります。
- 届いた納税通知書
- 売買契約書や買取証明書
- 名義変更後の車検証などの写し
- 廃車手続きの完了を確認できる書類
- ナンバープレートの番号や車台番号が分かる書類
自治体によっては、書類を郵送またはオンラインで提出することで税止めを行える場合もあります。必要な書類や手続き方法は異なるため、担当窓口の案内に従いましょう。
納期限が近い場合でも、自己判断で通知を放置するのは避ける必要があります。課税が取り消されるか判断できないときは、支払う前に自治体へ相談してください。
売却先へ手続きの状況を確認する
買取業者や販売店へバイクを売却した場合は、名義変更や廃車をいつ行ったのか確認します。手続きが完了しているのであれば、新しい車検証や廃車証明書など、完了日が分かる書類の写しを送ってもらうとよいでしょう。
業者側の手続きが遅れ、4月1日時点で旧所有者の名義が残っていた場合、法律上の納税義務者は原則として旧所有者です。ただし、契約内容や売却時の説明によっては、業者が税額を負担したり、相当額を補填したりすることもあります。すぐに納付するのではなく、まずは売却時の約束がどうなっていたか、買取証明書等を確認し、買取業者が負担することになっていれば業者に支払いを要求しましょう。
手続き自体が行われていない場合は、速やかに名義変更や廃車を進めるよう求めます。バイクを引き渡した後も名義が残っていると、翌年度以降も課税されるだけではなく、事故や交通違反に関する連絡が旧所有者へ届く恐れもあるでしょう。
売却先と連絡が取れない場合や、対応してもらえない場合は、市区町村や運輸支局へ相談します。手続きには売買契約書などが必要になる可能性があるため、売却に関する書類は名義変更の完了を確認するまで保管しておきましょう。
バイクの税金を把握して適切な手続きを進めよう
通勤や買い物に使っていた生活用のバイクであれば、売却代金を受け取っても原則として所得税はかかりません。一方、事業用や転売用、趣味・収集目的のバイクでは、売却による利益が課税対象になる可能性があります。用途や取得費、売却価格を確認し、必要に応じて確定申告を行うことが大切です。
また軽自動車税は4月1日時点の名義人に1年分が課されます。売却後も納税通知書が届かないよう、名義変更や廃車だけではなく、必要に応じて税止めまで完了しているか確認しておきましょう。
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